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『戸田真琴×福島裕二 写真展』で圧倒されてきました

渋谷ギャラリールデコで開催されている「戸田真琴×福島裕二 写真展」に行ってきました。


結論から言うと、圧倒されました。


写真が好きな人、特にポートレートを撮る人は絶対に見に行った方がいいです。
そして圧倒されてください。

福島裕二さんとの出会い 

camp-fire.jp

福島裕二さんは活動歴27年、最近ではこちらのクラウドファンディングで、モデルの戸田真琴さんとコンビを組んで大成功をおさめられた写真家です。支援金をもとに今年1月に開催された写真展も大反響で、ちょうど見に行った友人が「感動した」と言っていたことから、どんな人かと関心を持ち始めました。(ちなみに支援総額5410000円はCamp-fireの「アート・写真」カテゴリで歴代3位、写真集を作るという趣旨では1位になっています)

写真集のモデルの戸田真琴さんは「まこりん」という愛称で呼ばれているAV女優さんで、映画にも造詣が深く、マルチに活躍されています。ジム・ジャームッシュの『ミステリートレイン』というメンフィスを舞台にした映画にインスパイアされ、かの地で写真を撮ってもらいたいとの彼女の願いにこたえたのが、デビュー当時から写真を撮っていらした福島さんでした。


撮影された写真は『戸田真琴写真集 The light always says』としてまとめられ、クラウドファンディングのリターンとして支援者のもとに届けられ、今は一般販売もされています。


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(左は福島さんが共著で参加されている写真テクニック本)

僕はこの第一回目のクラウドファンディングの存在は知らず、写真集を見るにとどまり、写真展の開催も知らなかったので、当時は実際の写真を拝見する機会を得るまでには至りませんでした。

しかしながら、何が出会いをもたらすかは分からないもので、僥倖とでもいうべき巡り合わせから、福島さんにお会いする機会がありました。そのおりに3時間以上にわたり写真論、ポートレートとは何か、などを多岐にわたってお話しくださり、その圧倒的な技術力と表現者としてのスタンス、そして写真にかけるパッションに打たれ、趣味として写真を撮っているものとしては、もう一気にその人物に惹きこまれていったのです。

 

そして今回の6月のアンコール展示のお話についてもうかがい、いよいよその日がやってきました。

 

 ギャラリールデコへ

 

出発前にTwitterを見ると、嬉しいことに福島さんが在廊してるとのこと。やった!というわけでえっちらおっちらと渋谷のルデコギャラリーにうかがいました。

 

渋谷のギャラリールデコはJR渋谷駅の新南口を出て徒歩1,2分のナイスロケーションのビルにあり、1階には写真学校が入っています。

ledeco.net

展示は4,5,6階を貸し切っての大規模のもので、ひとりの写真家がひとりのモデルのみでこれだけの規模で展示をやるというのは、かなり稀なのではないかと思います。(じっさい福島さんによると、東京でこれだけの展示が見られるのは類がないとのことでした)

4階で受付を済ませると福島さんがいらしたのでご挨拶。さっそく壁一面に貼られたおびただしい数のポートレートを見ました。

 

どれも表情が生き生きしていて、まこりんこと戸田真琴さんの目には信頼が宿り、仲の良いカップルの彼氏が彼女を撮ったようなポートレートだと最初は感じました。

僕も写真好きで、おそらく年に数十回は写真展を見に行っているので、勘のいいモデルさんと高い技術(コミュニケーション力も含む)をもった写真家の化学反応が、こういった写真を生み出すことは、わかっているつもりでした。

 

しかし、写真を次々と見ていくにつれて、そこには彼氏彼女のようなある種の危うさをはらんだものではなく、もっと大きな信頼というか、愛情のようなものが写っていることに気づきました。

モデルのまこりんも、レンズを見返すというよりは「身を委ねている」ようなたたずまいです。とにかくなんの壁もへだたりもない写真でした。

それは親が子供を見る時の愛情のようなものなのかもしれません。こちらのインタビューでも福島さんは「根底にあるのは人類愛」という言葉を口にされていました。

 

genkosha.pictures

 

4階を一周して「おれはいますごいものを見ている」と思いつつ、次はいよいよ5,6階です。4階ですでに衝撃を受けたことをお伝えすると、福島さんは「辛くなったら戻ってきていいよ」と言われました。

「辛くなったら?」と思いましたが、趣味であれ、写真を撮っている人間として打ちのめされるよ、という意味でした。

『戸田真琴写真集 The light always says』でアシスタントをつとめていらした「ゆりちゃ」こと大村祐里子さんもこんなふうにつぶやいてらっしゃいました。

 

 5階と6階で待っていたもの

そして階段をのぼって5、6階へ。

この上層が本当にすごい。

どう「すごい」のかは言葉で表すのは難しいです。

B0版(だいたい1.5メートル×1メートルだと思ってください)に引き延ばされたポートレート群です。

ぶわっと世界が広がる感じでした。

 

皺から、うぶ毛から、眉毛の剃り跡まで鮮明に見ることができます。

そして表情には4階の写真群と同じく信頼があふれ、撮り手の愛情が注がれているのが分かります。

 

そしてこのポートレートを見ていると、なんだかウルっときてしまうのです。

ポートレートを見てこんな感情がわいてくる経験が無かったので、本当にびっくりしました。

 

 

ポートレートでこんなことができるなんて! 

ただただ驚くばかりでした。

魂が震える経験というやつです。

幸いにも?次元が違いすぎて辛くなることはありませんでした。

「本当にすごいものをみてしまった」という喜びと興奮だけが残りました。

 福島さんは「人類愛」とおっしゃっていましたが、僕は戸田真琴というひとりの人間を通しての「人間賛歌」のように感じられました。なんだか書いてて恥ずかしくなってくるのですが、本当にそう思ってしまったのです。

 

福島さんからいろいろうかがったこと

4階に戻り、福島さんに味わった感動をそのままにお伝えし、写真についても出し惜しみなくお話ししていただけました。「出し惜しみなし」というのが福島さんのモットーとのことでした。なぜなら、いくら話を聞いたところで、マネできるものではないからということからでした。

 再現性のすごさに驚いたことについてもお伝えすると「こうきたら、こうなる。こうすれば、こうなる」というのがすべて見えている、ということをおっしゃっていました。プロとしては当たり前のことなのかもしれませんが、完ぺきなレシピと、洗練された技術に裏打ちされているのだということが、ヒシヒシと感じられてひたすら脱帽です。

 

ちょうど写真をやっている方がいていろいろ質問されていたので、いっしょにアドバイス的なお話もうかがわせていただきました。本当に丁寧にいろいろと話していただいたのですが、整理できていないので、覚えている範囲で書き記しておきます。

 

「思ったように撮れないのは、まずよく見ていない、見えていないから」

「表情の変化を予測しておく。モデルの表情がどう変化しても対応できるように」

「モデルの呼吸に自分の呼吸を合わせる」

「6つの目で同時にモデルを見られるように」

「とにかくどう撮るかということを考え続けることが大事」

「僕が写真で表現したいのは人類愛」

「本当にすごい写真を見たことが無い人が多いので、見る場、機会を増やしたい。そうすれば日本の写真のレベルはもっと上がる」

もう本当にいろいろとお話しいただいて多謝多謝です。ちょっとでも日ごろ写真を撮るときに活かせればと思います。

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日替わり写真集が販売されていたのでゲットしてサインもいただき、いっしょに写真も撮っていただきました!ありがとうございます!

『戸田真琴×福島裕二 写真展』は6/17までやっています!この機会をお見逃しなく!本当に見て欲しい写真展です!

 

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