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クラシックギター、ソロギター、カメラ、音楽、映画がすきです。

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『さらば青春の新宿JAM』は物欲を刺激する Barbour オイルドジャケットを手に入れる話

『さらば青春の新宿JAM』を見るとさまざまな物欲が刺激されます。それはフレッドペリーのポロシャツであったり、モッズコートだったり、デザートブーツだったりするわけですが、僕にとっては「Barbour(バブアー)」のジャケットでした。

映画の中ではリーダーこと加藤ひさしさんの部屋(仕事部屋?)の貴重な映像が見られます。部屋には壁一面のラックがあり、その中に稀代のモッズ・加藤ひさしという男に影響をもたらしてきた、さまざまなコンテンツが陳列されています。

ファンの方ならば目を皿のようにして見るシーンだと思いますが、そのなかに「Barbour」のオイルドジャケットのリプルーフ用のオイル缶を見つけたのは僕だけではなかったと思います。

 

そしてコータローさんが明治神宮前で待ち合わせてフレッドペリーに買い物に行くシーンで着ているのは、間違いなく「Barbour」のジャケット。こちらは色合い的にオイル抜きしてあるか、最初からオイルを抜いてあるモデルのビデイルジャケットなのではないかと思います。(中にミッキーのグレーのスウェットを着ているシーンです)

 

 

実は僕はバイク乗りだった15年くらい前に「Barbour」のジャケットを買うかどうか迷って諦めたことがありました。その後、頭の片隅に「いつか買えたらなあ」と思いながらバイクもおりてしまい、時を同じくして「Barbour」のジャケットへの思いもどこかで失くしてしまっていたのでした。

時は流れて一昨年の9月にコータローさんの店「DUST AND ROCKS」が職場の近所に開店。そこにはオープン時からBarbourのオイルドジャケットが3着ほどありました。Barbourとの再会です。

ちょうど池袋交差点24時をシーズン1からマラソンしてコレクターズにハマってしまい、足しげく通っているうちに、なんとリーダーの初来店時に居合わせることができ、その時の模様を「池24」に投稿したところ採用され、ズブズブと「THE COLLECTORS」というバンドにハマっていき現在に至ります。

投稿したメールの内容にもあるのですが、まさに「Barbour」のジャケットを試着していたときにリーダーが店に入ってきたのでした。(その模様はシーズン7の「#069:南米を震わせろ!の巻」に収録されています)

 

donut.main.jp

 

リーダーと会えた翌週に思い切って買いに行こうかと思ったていたのですが、他の物を買ってしまい、予算もなくなってしまって迷っているうちにコートのシーズンではなくなってしまい、またしても「Barbour」のジャケットを袖に通すことはなくなってしまったのでした。

時は流れて今年の11月。記念すべき「さらば青春の新宿JAM」公開。初日舞台あいさつにいき、映画にももちろん感動。そして嬉しいことにわれらがシネマロサでも公開されてるとのことでこちらも見に行きました。(下記は11月の連休のコレクターズ漬けの日々を過ごした時の様子です)

 

 

シネマロサは『さらば青春の新宿JAM』仕様にされていて、原宿のギャラリーにも展示されていたリーダーのバイクや衣装が飾られていてとてもいい雰囲気でした。「いつものやきとん屋」からほろ酔い気分で「抜き打ちコーちゃん(もしくはダンシングコーちゃん)」がゲリラ来館することがあるという情報もあったのですが、この日は残念ながらパトロールはナシ。

 

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2回見るとさらに映画への理解が深まるというか、1度目の鑑賞では見逃していた細かい点などが見えるようになり、ますますコレクターズにハマり、そしてますますBarbourへの熱も高まっていくのでした。

2度目の鑑賞を終えた翌週に「DUST AND ROCKS」に行くと、まだ1着だけBarbourのジャケットが残っていました。なんとなく試着させてもらったところ、とてもいいサイズ感。「セールもやってますよ」とのことなのでついにGET。

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タグは切られちゃってますが、3ワラントのフード付きBEAUFORT(ビューフォート)ジャケットです。詳しい人が見れば何年のものか分かるのでしょうが、そのへんはよくわかりません。そんなこんなでコレクターズと「さらば青春の新宿JAM」で約15年越しの物欲が満たされた時でした。

 

thecollectors-film.com

 

映画もまだまだいろんなところで公開中です!ぜったいに劇場で見た方がいい映画なのでぜひぜひ!

ナゾのフィルムを現像 ARISTA 400(Ferrania 400)

6月ごろにカメラ仲間と小向マーケットに写真を取りに行く途中にたまプラーザにある「チャンプカメラ」に寄ったおり、期限切れのばら売りフィルムコーナーのなかに見たこともないフィルムを発見しました。

「ARISTA 400」という35㎜の12枚撮りのカラーネガフィルムで、たしか400円くらいだったので「まあこの枚数ならすぐに撮り終わるし、そんなにバカ高いわけでもないし」と購入していたのでした。

 

 

小向マーケットにいったらすぐに12枚を撮りつくそうと思っていたのですが、その日はちょっと前に買った「Cinestill 50」を試してみたくて、買ったばかりの「ARISTA 400」はカメラバッグのポケットにしまわれたのでした。(下記は小向マーケットに行った時の記事です)

 


夏がやってきて装填の日を迎えたのですが、仕事が忙しくなってしまって写真から遠のいてしまい、件のフィルムはカメラの中で秋をこえ、ようやく撮り終えたのは枯葉も舞うころになってからのことでした。

現像はC-41で大丈夫と聞いていた気がするので、あまりこだわらずいつもと同じビックカメラに現像を依頼したのですが、対応してくれた店員さんも「ネットにも情報が無いですし、よくわからないですね」と困り顔。店舗での現像は難しそうなのでラボに回しますとの返答でした。

 

そして以下が上がってきたものです。(一部感光してしまってました)

 

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(すべてLeica M4,Summarit 50mm/f1.5)

 

あまりに長くほったらかしていて、フィルムのISOを完全に忘れていたのもあり、露出がテキトーですが、かなりザラザラしてるなーといった印象です。


改めてフィルムを見てみると、パーフォレーションの表記には「Ferrania 400 87-7」とありました。「Ferrania?」と思って調べてみたところ、あの「Solaris」を出していたところでした。

Wikipediaによると、Ferrania(フェッラ―ニア)社は北イタリアのリグリア州にあったカメラ・フィルムメーカーで、創業は1923年。1940年代から50年代には多くのイタリア映画の撮影に使われていたそうです。

イタリア映画があれだけ盛んだったのだから国産フィルムがあって当然なのでしょうが、こんな歴史あるメーカーだったんですねー。(そういや三脚のマンフロットもイタリアの会社でした)

 

www.filmferrania.it

 

いちおうサイトは存在していて、未確認ですがショップらしきものもあるようです。フェッラーニア社は60年代には買収され、その後も何度かいろんな資本のもとで紆余曲折があったようでした。

1999年以降に「Ferrania Solaris」シリーズとしてフィルムが販売されるようになったようですが、こちらも2007年には生産終了。4年前にkickstarterで32万ドルを集めて復刻フィルムを作った形跡もありました。Solarisシリーズと今回現像に出したフィルムが同一のものかどうかは分かりません。

チャンプカメラのブログによると、ロサンゼルスの写真屋さん「Freestyle」がこのフェッラーニアのフィルムをオリジナルブランドの「ARISTA」として販売しているようでした。FerraniaのフィルムはLomographyの中身にも使われていることもあるらしく、いろんなパッケージを着せられ、ラベルを変えられて販売されているようです。

フィルムのブランド名が変わって売り続けられるのは「カメラ業界あるある」のような気もしますが、もはやすべてが「絶滅危惧種」といいってもいいフィルムたち、一日でも長く生産が続いてほしいものです。

ちなみにこの「ARISTA 400」は12枚撮りとの表記でしたが17枚撮れました。このへんの大雑把さも続いて欲しいものです。

映画『THE COLLECTORS さらば青春の新宿JAM』鑑賞 コレクターズ漬けの3日間

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新宿ピカデリーで公開されたドキュメンタリー映画THE COLLECTORS さらば青春の新宿JAM』見てきました。幸運にも初日の舞台挨拶の回のチケットが取れたので、ピカデリーへin。

 

thecollectors-film.com

 

『池袋交差点24時』ばりのトークが展開されることも期待していたのですが、あくまで映画の挨拶ということで、トークは進行役の女性に回してもらう感じの控えめ。後半には写真撮影タイムもあったのですが、いかんせんステージが暗すぎてあんまりいい写真は撮れませんでした。

でも前から5列目という好位置でリーダー(加藤ひさしさん)のハッピーバースデー(11/22)をファンの方々とお祝い出来たりしたのは、かえがたい経験でした。

 

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モッズへの目覚め

僕は20年近く前にモッズの洗礼を受け(つまり、映画『さらば青春の光』を見てハマって)、中途半端なモッズとしてサイドベンツのスーツをオーダーしたり、「MADE IN ENGLAND」のフレッドペリーのポロシャツを探したりした、遅れてきた世代です。(ベスパは買えなくて、同時にハマっていたカフェレーサーカスタムの250ccに乗ってました)

そこからピストルズスペシャルズを聞いて、ロンドンな空気にかぶれ、ツバキハウスのロンドンナイトというものが過去にあったことを知りました。「パンクスノットデッド」「ノーフューチャー」などの言葉に酔った勢いで新宿に行ってみるも、もはやそんな時代は過去のものになっていました。

WIREというクラブがあって、そこでロンドンナイトの残り香のようなものがかけられているという根も葉もないウワサを聞き、酔った勢いで訪れた金曜の夜。

たしかスペシャルズだったかの曲がかかっていて妙にアガって、踊れもしないのに踊って(体をゆすって)汗だくの午前5時。けっきょくそこで始発を待って、土曜の朝の新宿でゴミを漁るカラスの多さにビックリしたことだけは鮮明に覚えています。

そんな日々から20年。ひょんなことからモッズバンドの大御所コレクターズに魅せられ、ポッドキャスト『池袋交差点24時』をシーズン1からマラソンし、たまたまオフィスの近所にコータローさんがオープンした「DUST AND ROCKS」に足しげく通うようになり、そこで運よくリーダーやコータローさんにお会いでき、しかもそれを『池24』に投稿したところ番組で読まれ、とズブズブとモッズ、そしてコレクターズの世界に浸かりつつあります。

そんなタイミングでの『さらば青春の新宿JAM』公開。いろいろなものの巡りあわせに驚くばかりです。もう流れに身を任せるしかないです。

 

映画『さらば青春の新宿JAM

さて、映画。これはもう最高としか言いようがない作品でした。ロンドンからはだいぶ離れた東洋の島国に飛んできたモッズの種子が、加藤ひさしという男によって開花した軌跡(の一部)を描いた映画です。(以下すこしだけネタバレあります)

本国ではおそらく廃れかかっているモッズシーンが、コレクターズという現役のバンドによって受け継がれている、あるいは進化しているという現象。文革で失われた中国の伝統文化が、いまだに世界に点在するチャイニーズタウンで継承されているのと同じようなことでしょうか。

埼玉の片田舎でモッズにあこがれた青年が、みずから楽器を手にし、曲を作り、歌を作り、衣装を作り、バンドを作り、ベスパを駆り、30年以上にわたってそのシーンを洗練し続けている。そのことが実は奇跡のようなことだということが改めて分かるドキュメンタリーでした。

2パイントはありそうなでかいハイボールを飲みながらほろ酔いで鑑賞していたのですが、還暦近くになってもそんな戦いを続けているリーダーの歌う姿を見ていると、3回くらい涙が出そうになりました。ホント、ライブシーンのリーダーのアップの表情は胸を打つものがあります。このシーン見れただけでも良かった。

銀杏BOYSの峯田くんが出演していて、映画の中で語っていた言葉がとても印象的でした。「『さらば青春の光』があって、その世界にあこがれ続け、それを求めているから、加藤さんは変わらずすごいままでいる」というようなことを言っていたと思うのですが、このセリフにすべてが集約されているような気がしました。

ここにはない虚構にあこがれ続ける。現実に揉まれていい大人になってしまうと本当に難しい。『さらば青春の光』のラストシーンでは、ジミーはスクーターを崖から落としますが、加藤ひさしという男はまだまだベスパのアクセルをひねりつづけ、エキゾーストを鳴らし続けている。

相棒のコータローさんもココナッツディスクで行われたインタビューで「常にあこがれたいし、あこがれられたい」ということを話していましたが、まさにこれなんだなあと、しみじみと思いました。しかし50歳過ぎてこういうことをさらっと言えるのは、本当にカッコいい。

 

www.youtube.com

 

そしてなんと(見間違いでなければ)この映画、僕も出演してます(笑)。あるシーンのお客さんとしてチラっとですが映っていました。まさかのスクリーンデビュー。川口監督に多謝多謝です。やー、嬉しいわー。

もうひとつ嬉しいことに、家からほど近い池袋ROSAでの公開も決まっているので、こちらも見に行こうと思っています。DVD化も待ち遠しいですが、ライブシーンを映画館の音響で聞く機会はなかなかできないので、やはり劇場に足を運びたいところです。

池袋でレコ発イベント

そして、二日目はブクロのP’PARCOでの『YOUNG MAN ROCK』発売イベントへ。優先スペースには入れなかったのですが、好位置で二人を見ることができました。ちょっと店舗でかかっているBGMが大きくて聞き取りづらいところもありましたが、生『池24』ないい雰囲気を味わえたので満足満足。

 

ギャラリー展示

さらにさらに三日目は原宿GOBLINで開催されたコレクターズの展示へ。リーダー所有のベスパやステージ衣装、ギター&ベース、衣装の展示などがあり、多くのファンで賑わってました。

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モッズスーツにパーカにモッズスクーターとキメキメで来ている人もいて、いい雰囲気。写真撮影もOKだったのでちょこちょこと撮影。プロジェクターで「クライムサスペンス」のPVが見れたのも良かったー。

 

www.youtube.com

 

なんとなく行く先々で同じ方々を見たので、ファンの方々にとってスペシャルな連休だったのではないかと。というわけで僕にとってもスペシャルな3日間でした。

 

 

クラシック・ギタリスト 小暮浩史さんのニューアルバム『oblivion』を聞く

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何度か演奏会を主催させていただいた、クラシックギタリスト小暮浩史(こぐれひろし)さんの2枚目のアルバム『oblivion』が発売されました。昨年の2017年には東京国際ギターコンクールで久々の邦人優勝を飾り、いまもっとも勢いに乗っているギタリストの一人です。

 

今回のアルバム、まったく前情報なしで開封したところ、1曲目にローラン・ディアンス編ピアソラの『リベルタンゴ』が収録されていました。演奏会などでも聞いた記憶がなかったのでまずビックリ。

ピアソラの曲のギター独奏ですと『アディオス・ノニーノ』『チキリン・デ・バチン』『天使の死』『オブリビオン』『ブエノスアイレスの春・夏・秋・冬』あたりがよく弾かれていますが、おそらく一般的には一番有名な『リベルタンゴ』は他のギタリストの演奏会でも聞いたことがなかった気がします。

聞いてみるとイントロは耳に慣れ親しんだ『リベルタンゴ』とはまったく違った曲相で、クラシックギターの複雑な技巧のオンパレードのような難曲でした。

『A列車で行こう』から『チュニジアの夜』まで、ギター1本でジャススタンダードの国へもひょいっと越境してしまうディアンス。タンゴだろうがなんだろうが、エンターテイメント、あるいはアートに昇華してしまう、ローラン御大の真骨頂といったところでしょうか。

 

小暮さんの演奏をきく時に思うのが、この「エンターテイメントとアート」の2つのバランスの良さです。クラシックギターというのは、どちらかといえばアートの領域に引っ張られがちで、超高度な技巧や芸術性の高さというか、ともすれば堅苦しい雰囲気をまといがちな世界に感じます。

その中で小暮さんの演奏は常に根底にエンターテイメント魂が流れていて、独特のグルーブというかポップさがあって、今風に言えば「いいバイブスだしてる」感じなのです。ブローウェル編のピアソラ『天使の死』を得意としていた小暮さんですが、『リベルタンゴ』を演奏会で聞くのも楽しみです。

 

 

 ニューアルバムの聞きどころはたくさんあるのですが、数回聞いたいまの時点で特にお気に入りなのが、ロベール・ド・ヴィゼーの『組曲ト長調』です。

ギターで留学してリュートなどの古楽器を勉強するギタリストがいると聞きますが、小暮さんもその一人で、テオルボ(リュート属の楽器でネックがとても長いやつ)を学んでいるそうです。

ロベール・ド・ヴィゼーは17世紀のフランスで活躍したギターとテオルボの名手といわれています。クラシックのメジャー作曲家の中に置かれると目立たない存在かもしれませんが、クラシックギター界の中では有名な作曲家で、ルイ14世の宮廷音楽家をしていました。(詳細は謎に包まれた人らしいです)

ルイ14世といえばブルボン王朝イケイケ時代を作った人かつ、ダンスパーティ好きな元祖パリピ。ド・ヴィゼーはその太陽王に音楽を捧げていたというのですから、今でいえばワールドクラスのミュージシャンだったのかもしれません。

ライナーノーツによると、ド・ヴィゼーが遺した「テオルボとリュートのための曲集」と「セズネ手稿譜」の2つの版をもとに小暮さん自身がギター独奏用にアレンジしたもので、もともと通奏低音(要は今でいうところのベース音)を弾くテオルボを表すためにギターの5,6弦をかなり低くチューニングしています。

ゆったりしたプレリュードから始まるバロック時代の音楽。低音がとても心地よく、天気の良い11月の休日の朝になど聞いていると、なんだか自分の人生が豊かになった気がしてきます。洗濯ものもよく乾きそうです。

 

 

そして、もう1曲だけ挙げるとするならばセルジオ・アサドの『南米風変奏曲』でしょうか。こちらは2年前のアントニー国際ギターコンクールの課題曲として作曲された新しい曲で、このCDが世界初録音ということです。

小暮さんはこのコンクールに参加し、作曲家本人の前で演奏し、課題曲を最も優れて演奏したものに贈られる「課題曲賞」をアサド本人からいただいたそうです。いま録音を残すとしたら、小暮さんをおいてほかにはいないといったところでしょうか。

こちらはクラシックギターを弾く人ならば誰でも知っている、フェルナンド・ソルのエチュード(練習曲)から始まります。「夢」という名前が付けられ、ギター愛好会にも愛奏されるシンプルで美しい曲です。

『南米風変奏曲』は、クラシックの変奏曲によくある、素人にはどこがどう変奏されていっているのかよくわからない曲と違って、このエチュードがかなり原型をとどめたままに様々な南米の民俗舞曲に変奏されていきます。

アサドらしい洒脱で軽妙な曲で、耳になじみやすく、クラシックギターを聞いたことがない人は、こういう曲から聞いたら楽しめるんじゃないかなという1曲です。これからいろんな演奏家が弾いていくようになるかもしれません。

 

もっといろいろと書きたいのですが、どんどん長くなってしまうのでこのへんで。

 

さて、そんな2枚目のアルバムを出したばかりの小暮さんですが、昨年の東京国際ギターコンクールの優勝記念で全国ツアーの真っ最中です。

クラシックギターを初めて聞かれる方も、愛好家の方もきっと楽しめると思いますので、お時間ありましたらぜひ足を運んでみてください!

 

北区に来たらエレカシの曲が赤羽駅の駅メロに使われることに

 

 

作月末、10年以上住んだ板橋区大山をあとにして新生活を始めました。大山の雰囲気がとても好きなので、また遊びに来られるように近辺で探していたところ、板橋駅の近所に良い物件が見つかり、あまり熟考もしないうちに引っ越し。

 この地域、JR板橋駅のすぐそばなのですが、なんと北区です。(ちなみに板橋駅のホームの大部分は豊島区だそうです)駅あるあるというか、区名を冠した駅が区境に位置しているというやつでした。新宿駅がほとんど渋谷区にあったりするのと同じですね。

転出届を出しに赤羽に行き、みやじの住んでたエリアが生活圏になるのだなとしみじみと思いました。また春ごろに山田孝之の『北区赤羽』にドハマりしていたので、なにか吸い寄せられるものがあったのかもしれません。

そんなところへ嬉しいニュースが!

www.oricon.co.jp

 

うおー!マジか!マジなのか!

 

orenomichi.hateblo.jp

 よく読ませてもらっているエレカシファンブログ『俺の道』のエイプリルフールネタを思わず思い出しましたが、今度はガチのようです。本当に嘘から誠というか。いずれにしても嬉しい。

 

僕の地元はZARD坂井泉水さん出身中学の最寄り駅があるところで、「負けないで」と「揺れる想い」が駅メロとして用いられるようになりました。(僕は隣の中学に通っていました)

昔バイトしてたときの後輩くんがZARDの熱狂的なファンで、僕の地元を聖地として何度も巡礼していたことを懐かしく思い出したりもしました。当時はミュージシャンのファンになって、その生誕地を訪れたりすることに何の意味があるのか分かりませんでしたが、今では少しわかるようになった気がします。

 

Mステの椎名林檎とのコラボパフォーマンスもぶっ飛んでて気持ちよかったー!11/16はファンがたくさん赤羽駅に集まるのでしょうか。仕事帰りに足を延ばして寄れたら寄ってみたいと思います。

 

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(赤羽台団地にて。Nikon FM3A / Ai Nikkor 45mm F2.8P/Kodak Portra400)

ポール・マッカートニー Freshen Up Japan Tour 2018.11.1東京ドーム

「Outhere」「One on One」に続き、今年も行ってきましたポールの日本公演。今回は奮発してS席をゲット。もちろん昨年のような奇跡は起きませんでしたが、けっこう近く感じられる席で、しかも両サイドが空いていたので腕を振り上げたりもしやすく、立ちっぱなしで楽しんできました。下記は前回のツアーでの奇跡の詳細です。

 

kentarot.hatenablog.com

 

今回は全米チャートで1位を獲得した『エジプトステーション』を引っ提げてのツアー。僕もひと月ほど前に初回限定版をゲットしてちょこちょこ聞いてからの参加でした。

 

 

ちょうど二日前に奇妙礼太郎さんとトモフスキーの対バンを聞きに行って、そのとき礼太郎さんがいっていたのですが、「もうポールクラスになると曲名が"I Don't Know”とか"Do it now"みたいなシンプルなのでなんとかなってしまうのがすごい」という話をしていました。

なんとなく言いたいことがわかります。キャリアのないミュージシャンがそういったタイトルをつけるのと、ポールがつけるのは言葉の重みが違うというか。マーチン・ルーサー・キングが"I have a dream”という時と僕らのような凡俗がそれを言う時とは意味合いすら変わってくるというか。ポールがいう"Do it now"はどこか哲学的な意味すらあるんじゃないかと感じてしまいます。

 

さて、ライブ。セットリストは前のツアーとも前の前のツアーともかぶっています。ちょっと例えとしてあっているかどうかわかりませんが、約束事はある程度までは決まっているミュージカルや演劇に近いライブといえるかもしれません。

もちろん初めてくる方は、新曲よりは知っている有名曲をやってほしいと思っているだろうし、僕もポールを聞くからにはレリビー、ヘイジュード、ブラックバードあたりはどうしてもききたい。

そしてゴールデンスランバーも、アイブガッタフィーリンも、オブラディオブラダも…と、オーディエンスの「これはどうしても聞きたい」というのの最大公約数的なセットリストを組んでいくと、今のような選曲になるのだなあと思うわけです。

今回は新しくホーンセクションの3人も加わって、アリーナ席中央を吹き歩くという演出が加わっていました。アリーナ席にポールが下りるのはセキュリティ的にもなかなか厳しいでしょうが、花道を作ってセンターに出てきてくれたりしないかなーと本気で思いました。海外のミュージシャンはあんまりやらないでしょうが。次のツアーではぜひ検討してほしいものです。

今回面白かったのはエリナリグビーの歌いだしでコーラスをミスってやり直しという一幕。そのときのポールのとっさのひとこと"Proove it's live"(ほら、これがライブだって分かったでしょ)。会場は爆笑でした。なんかこういう場にいられるだけでもうれしいものです。

三列前に座っていたおじ様がずっと座って聞いていたけれど、アンコールでは立ち上がって大はしゃぎしていたのがとっても良かったです。なんだか音楽って本当にすごい。

ポールも今年で御年76歳。すこし心配だったのが昨年のツアー時より老けた、というかすこし元気がないように感じられたことです。年齢的なことを考えればあれだけのライブをやり続けているだけでも「存在自体が奇跡」みたいな人ですが。できるだけ長くそのレジェンドを見せてほしいものです。

 

 

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Born in The '60s

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60年代に生まれた人の影響が大きいな、と最近ふとした折に感じます。父親でも母親でも無く、同年代でもなく、年の離れたアニキたち、あるいはアネゴたち。干支で言うと一回り上の人々。還暦のチョイ手前のアラ還世代というか。

取引先や大好きなミュージシャンでも、この世代の人々は言ってみれば「酸いも甘いも味わって来た世代」。バブル世代といえばバブル世代だが、諭吉をちらつかせてタクシーを止めていたタイプの人でもない(ホントにそんな人いたのか?)。

社内政治に巻き込まれて、「じゃあそういことなら俺は独立させてもらうよ」と20年働いた職場を後にする人。数十人の従業員を抱えながら、やむなく会社を閉じてしまった人。ずっとオモテ舞台にでることなく実直にプロフェッショナルとしての道を究めて、今日に至って脚光を浴びるようになった人…。

 

打ち合わせや飲み会などでそういった方々の話を聞くと、ひとことひとことに重みがあります。魂が入っているというか、血が通っているというか。

昨今の若い起業家や、インフルエンサーとは対極に位置する人々かもしれない…。それでもなんだか、人として、仕事をする人間として当たり前のことを言っている言葉になんだか重みを感じざるを得ないのです。

「知に働けば角が立つ,情に棹させば流される」まさにこのことを体現してる方々にお会いして、その一言に耳を傾けると、ある種ステレオタイプな言葉も箴言として聞こえてくるのです。

あるいはそれは関係性のもたらすマジックかもしれない。でもそういったマジックが起こりうる状況は、マジックが起こらない状況よりも何か創造的な、あるいは生産的な気がしてしまう。

これは音楽などでも顕著で、同世代のミュージシャンよりも10歳くらい上のミュージシャンい惹かれるのって割とあることではないかと思います。僕の例でいえば、コレクターズやピーズ、あるいはエレカシ

あの永遠に続くかと思われたアドレッセンスのちょっと先を生きていた世代。さきほどアニキ、アネゴたちと書いたけれど、ひょっとしたらもう少し上の世代。両親と兄弟のちょうど間くらいの人々。

こういった人々を直接的であれ、間接的であれ、ある種のメンターとして持てることは、実はとんでもない僥倖なのではないかと時々思うのです。

このことをうまく言える言葉が欲しいです。「干支ひとまわり上リスペクト」的な。